信濃毎日新聞掲載文

ソルガム加工品　ネット通販
長野の「AKEBONO」　小売り事業を本格化
アレルギー対応食品　需要増見込む

イネ科の穀物、ソルガムの加工販売を手掛ける信州大発のベンチャー企業、AKEBONO（アケボノ、長野市）が、自社の通販サイトを立ち上げ、県内産ソルガムを原料とする食品の小売事業を本格的に始めた。
アレルギー原因物質を含まず栄養価が高いソルガムは、小麦の代用品として需要が高まると予想。新型コロナウイルス感染症の影響で給食向けなどの販売が伸び悩む中、市場が拡大する通販で消費者の取り込みを図る。

サイトでは、ソルガムの実や粉の袋詰め、実を焙煎したコーヒー、パン屋ケーキが簡単に作れるミックス粉の他、新たに開発したロールケーキなどを販売している。ソルガムの粉末を使った生地は膨らませるのが難しい。井上格社長（31）らが信大大学院の社会人コースに通って、製粉方法や粒の細かさなどを試行錯誤し、商品化に結びつけた。
ロールケーキは、直径約10センチ、厚さ2,5センチの1食分が10個入ったセットが税込み3280円、長さ12,5センチのケーキ2個のセットが同2780円。サイトでは農産物加工販売の農村木島平（下高井郡木島平村）が手掛ける米粉のロールケーキも扱っており、ソルガム粉のロールケーキと組み合わせて購入できる。
アケボノは、長野市の地域おこし協力隊員で信州産ソルガム普及促進協会（長野市）代表の井上社長と、須坂市の地域おこし協力隊員の早川航紀専務（29）が、昨年8月に設立。遊休農地を再生するため県内各地で栽培されるソルガムの実を仕入れ、給食事業者やスーパー向けに出荷してきた。販路を広げようと、消費者に商品を直接届けるネット通販に着目した。
新型コロナによる臨時休校などで給食向けの販売は一時的に停滞してるが、井上社長は「アレルギー対応食品への関心は高まっている」と強調。「一般消費者向けの通販でソルガムの認知度を高め、業務用の販路拡大にもつなげたい」と話している。